2015.02.26 Thursday
この世の利益きはもなし
ご和讃に「南無阿弥陀仏をとなふればこの世の利益きはもなし」とあるように、お念仏を称える身となるとこの世でこの上ないご利益をたまわるのです。お浄土に生まれるということは、あの世の利益ではなくこの世の利益です。死の不安が無くなり今が安心となるのです。この世は無常です。この世で常なるものはありません。一瞬一瞬変化しています。一寸先は闇です。生まれたからには必ず死にます。これはこの世の真理です。決して避けられません。ではこの無常の世で本当に安心できるにはどうすればいいのか? それは常なるものに遇うしかないのです。何が起きてもどっちに転んでも大丈夫といえるもの、決して見捨てず、いつでもどこでもどんな時でも生きる支え・土台・拠り所となる「まこと」なるものに遇うことです。念仏とは、限りないいのち(無量寿)の世界から私のところに来て、「心配ないよ、必ず救う」という如来のよび声です。「火宅無常の世界は、よろずのこと、みなもってそらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておはします」(歎異抄)