2009.11.25 Wednesday
そのままの救い
『愚の力』という本の中で、そのままの救いという言葉は「現代人に対して、この表現は非常に危うい」「そのままでいいなら自己反省は必要ないのか」「私の側が、このままでいいのなら、救いも何も要りません」という厳しい指摘がありました。 「そのままでいい」「あなたはあなたのままでいい」という言葉が現代人に多く共感を与えるのは、そのままの私が認められないからです。役に立つもの、人より何か秀でるものを持っていなければ認められない社会であるから、人と比べなくていいよ、「あなたはあなたのままでいい」という言葉に癒されるのです。ただここで終われば癒しの言葉であり、救いの言葉ではありません。阿弥陀如来は、自力ではどうにもならない煩悩をもった私を、煩悩をもったまま「そのまま救う」と誓われているのです。仏の光に照らされれてくると私の煩悩が見えてきます。煩悩とは恥ずかしい、浅ましいものです。この煩悩を払いのけようとするから苦しいのです。喜べないのです。「そのままでいいのです」 私がどこまでも煩悩いっぱいの私であったと認めればいいのです。阿弥陀如来は煩悩具足の凡夫を「そのまま」救ってくださるのですから。